トライアングルサーバー・エージェンシー
この作品は投稿サイト「カクヨム」にも投稿しております。
ストリーの始めの部分は「カクヨム」をご覧ください。
◆◆砂漠の赤焦げた大地に
この大地はアメリカの砂漠とは違い、いやそれよりももっと過酷でこの砂漠で生きることの厳しさを、頬をさする風が語っていた。
霧崎は、現地のグラビティユニット(重力装置)開発チームと合流した。
この研究所は、アンジェが知るアメリカの研究所の様に地下にその存在を隠してはいなかった。広大に広がる砂漠の中に埋もれる様にその姿を現している。
アンジェは一人、研究所の中を歩いていた。
砂漠の砂が入り込まない様に、何重もの外壁があるかのように思えたが、そんなものはどこにも見当たらなかった。
でも、その地は緑豊かな木々が、涼しげな木陰をいくつも作り、その間を縫う(ぬう)様に水の穏やかな流れが、日の光を輝けるものに変えていた。
桜が咲いて……また桜は咲く
この小説は「小説家になろう」サイトにも投稿しています。
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◆◆桜が咲いて……また桜は咲く
磨緒くんが東京に帰ってからの一か月間は瞬く間に過ぎ去った。あれから何度となくメールや電話をした。目の前にいる時とは違う何となく感じるもどかしさ。
磨緒くんが秋田に居る時はそれがもう当たり前のように感じていたけれど、いざ離れると少し寂しい。それでもほんの一か月の辛抱……それに引っ越しやら移動の手続きなんかで家にいる時間なんかほとんどない状態。でも、それがかえって良かったのかもしれない。
ようやくまたなれたこの秋田を、そして家族と離れる寂しさを日を追うごとに感じなくて済んだから……もしかしたら気持ちが揺らいでいたかもしれない。それでも私は決心したことを後悔したくはない。だから忙しい方がよかった。
続きを読む時は巡り合う
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◆◆◆時は巡り合う
カランカランと玄関のカウベルが鳴り響いた。俺らが朝食を済ませ、自分の部屋で支度をしている頃瞳が来た。
「おはようございます叔父様」
「お、早いなぁ瞳ちゃん。ちゃんと休んだのか」
その日の瞳はいつになく元気に
「もう、大丈夫ですよ。だってまだ若いんですもん」
「ハハハ、そうか一緒にしちゃまずいか」
「そうですよ」と明るく振る舞っていた。
「コーヒーでいいかい」
「ありがとうございます」
瞳はカウンターのスツールに腰かけカップに注がれたコーヒーを受け取った。
「義はなんか言ってたか」
「ううん、お父さんもう諦めたみたい。今朝も叔父様のところ行ってくるて言ったら「そうか」だって、ほんとぶっきらぼうに言うのよ。なんだかすねた磨緒くんみたいだったけど……」
「ハハハそうか、あいつらしいな。でもな瞳ちゃん、義も瞳ちゃんの事一番に思っている事は忘れちゃいけないよ」
「うん、お父さんも、お母さんも、私の事本当に心配してくれているから言ってくれたんだと思う。それに私、同じ事はもう繰り返したくないもの……みんなに迷惑かけっぱなしだったから……」
「そうか……」叔父さんは軽く呟く。
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