時は巡り合う
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◆◆◆時は巡り合う
カランカランと玄関のカウベルが鳴り響いた。俺らが朝食を済ませ、自分の部屋で支度をしている頃瞳が来た。
「おはようございます叔父様」
「お、早いなぁ瞳ちゃん。ちゃんと休んだのか」
その日の瞳はいつになく元気に
「もう、大丈夫ですよ。だってまだ若いんですもん」
「ハハハ、そうか一緒にしちゃまずいか」
「そうですよ」と明るく振る舞っていた。
「コーヒーでいいかい」
「ありがとうございます」
瞳はカウンターのスツールに腰かけカップに注がれたコーヒーを受け取った。
「義はなんか言ってたか」
「ううん、お父さんもう諦めたみたい。今朝も叔父様のところ行ってくるて言ったら「そうか」だって、ほんとぶっきらぼうに言うのよ。なんだかすねた磨緒くんみたいだったけど……」
「ハハハそうか、あいつらしいな。でもな瞳ちゃん、義も瞳ちゃんの事一番に思っている事は忘れちゃいけないよ」
「うん、お父さんも、お母さんも、私の事本当に心配してくれているから言ってくれたんだと思う。それに私、同じ事はもう繰り返したくないもの……みんなに迷惑かけっぱなしだったから……」
「そうか……」叔父さんは軽く呟く。
「ちょっとあんたの荷物なんでこんなに重いのよ」
「しかたねーだろ長丁場だったんだから、増えちまったんだよ」
ふと見上げるとスツールに軽く腰かけながら「クスッ」と笑う瞳の姿を目にした。
「おはよ磨緒くん、麻美さん」
「お、おはよう」
「あ、瞳さんおはようございます」
なぜだろう……瞳の姿を目にしているだけで物凄く気持ちが落ち着くのは……
あの長い髪に細く長いまつ毛、肌の色は雪のように白くその潤んだ瞼の奥にある瞳が俺をそっと優しく見つめている。俺も昨日の夜の事が夢でなった事を確かめるように彼女を見つめていた。
「まったくもう、すぐに二人の世界に入っちゃうんだから」麻美ねぇがちょっと悪戯っぽく俺らをなじった。
また二人揃って顔を赤くしていた。
叔父さんの「ふたりとも準備は出来たのか」ふっとその言葉に我に返って
「瞳、もう行くのか」と訊く
「うーんそうねぇ、もうそろそろ出た方がいいかもね」
叔父さんがちょっと寂しそうに
「そうか……」と呟いた。
それから間もなく俺らはこのペンションを後にした。
「叔父さん本当に迷惑かけて……済みませんでした。それと本当にありがとうございました」
俺は柄にもなく叔父さんに深々と頭を下げて礼を言った。
「おいなんだよ、そんなにあらたまって」
ちょっとびっくりしたように叔父さんは言っていたが、これは俺の本当の気持だった。もちろん怪我をして迷惑をかけた事もあるがそれ以上に、俺と瞳をまた引き合わせてくれたと言う事に感謝したのだ。俺は瞳とまた出会えて、幼い頃の俺の想いとは全く違う瞳への想いを得ることが出来た。それもこれもすべて、叔父さんという存在があったからこそ得られたものだった。
それは物凄く切なくそして甘く暖かい想い
幼いころから心のどこかに潜んでいて表にも出せないでいた本当の素直な自分の想いを……
昨日の夜、俺と瞳はお互いが持つあの小さなお守りを出し合った。そう、あの時俺が駅のホームで瞳から受け取った小さな赤と紺色のお守り。
そのお守りには、お互いに羽を広げた鳥の様な刺繍が施されている。
「ねぇ、磨緒くんこのお守りにある刺繍なんだと思う」
「んー孔雀かなぁ」
「ううん、違うわよ。これは鳳凰……」
「鳳凰って……」
瞳は燃え行く暖炉の炎を見つめながら静かに話はじめる。
鳳凰は、古来中国の伝説の鳥として崇められていた生き物。古代の中国では「麒麟」「亀」「龍」そして「鳳凰」は特別な生き物として崇められていた。その中でも鳳凰は実際には存在しない架空の霊鳥。
鳳凰が姿を見せ空を羽ばたくと、多くの鳥たちが鳳凰の後を追う様に舞い上がる。そして鳳凰は世の中が本当に平和であるときにしか現れない。
鳳凰が現れる時はその世が平和であって幸せであると言う事を意味している。だから古くからこの鳳凰は縁起の良い生き物として崇められているんだと。
「それじゃ、俺が持っている紺色のお守りにある鳳凰が雄で、瞳が持っている赤いお守りにあるのが雌の鳳凰って言う事になのかなぁ」
「それは違うわ」
鳳凰は雄と雌の両方を持つ、つまり私たちの言う性別というものが無い。それは雄雌が一つであると言う事を意味していて、もう一つに陰と陽つまり光と影は常にいつも一つであると言う事を意味している。
「磨緒くんこのお守りを渡した時の事覚えている?」
瞳は俺の横顔をふと見て言った。
「ああ、確か俺が小学校五年か六年のあたりだったと思うけど、お袋と一緒に秋田に来たけどちょうどその頃瞳塾のセミナーだっけ、それに行ってて会えなかったんだよな」
「そう、あの時ほんと焦ったなぁ。だってまさか磨緒くんが来てるなんて知らなかったんだもの。帰りの電車遅らせちゃったから家に連絡したの、そうしたらお母さんから磨緒くんが来ていたって訊いて、慌てて電車に飛び乗ったんだけど乗ったの普通列車だったのね、途中でこまちには追い抜かれるし、もう間に合わないと思ってた。だけど磨緒くんたち大曲駅から乗るって聞いて何とか間に合ったのよ」
「瞳、意外と抜けてるとこあるもんなぁ」
ちょっと皮肉っぽく言うと
「もうぉ……」と少し頬を膨らませた。
「でもね、このお守りあのセミナーに行ったから貰えたのよ」
ん、とそれはどういう事?と少し俯いた瞳の顔を覗き込んだ。
「もしかしてそのセミナーに参加した人全員に渡された参加賞だったのか?」
「ううん、そんなんじゃないわよ。最後に講師の先生に挨拶しようとして行ったんだけど、そこで模試一番だったってこっそり訊かされてうれしくてつい話し込んじゃったの。それでね、頑張ったからご褒美だってこのお守りを頂いたの」
「ふーん……」と鼻を鳴らしながら足元に置いていた薪を暖炉に一本放り投げた。
薪は一気に炎に包まれ燃え上がった。
「その時ね、その先生から言われたの。このお守りは「縁(えにし)」を結ぶお守りだって。自分が願う人や事柄の縁を導いてくれるんだってね。だから先生も自分が志望する大学に入れて彼女さんとも巡り合う事が出来たんだって。そう言われて私も音大にもう受かったも同然って言ったら、神頼みだけじゃ受かるもんも受からないよって怒られちゃった。でもその先生に怒らちゃうのも当たり前かもね。だってその先生の口癖って……」
想いは自分には歩んでくれない。想いを勝ち取るには、自ら想いに歩まなければならない。
「最初の挨拶の時その先生が言った言葉。それからことある事に言っていたなぁ。あの言葉訊いた時何かに刺された様に物凄く胸が痛かった。だからかもしれない、あのセミナー頑張れたのも……それでね最後にこのお守りの事訊いたの。このお守りの言い伝えを……」
そこで瞳はこのお守りに施されている鳳凰の刺繍の意味を話し始めた。
「鳳凰は雄と雌の区別がないって言ったわよね。それは全てが一つであるとい事を意味しているんだって。このお守りは現実には赤と紺の二つのお守りに分れているんだけれど実は二つが揃って初めて一つのお守りになるんだって。ほらこの刺繍、重ねると鳳凰がぴったりと重なるでしょ」
その二つのお守りの鳳凰を重ねると、まるで二つの鳳凰が浮き出るかのようにぴたりと重なり合った。その二つのお守りの刺繍だけが透けて浮き出るように羽ばたく一羽の鳳凰として目に映った。
不思議だった、あのお守りの形は透き通り鳳凰の姿だけが透け浮き出ていたのだから……。
「そう、だからこのお守りを持つ二人はいつも繋がっているんだってね」
「だから……だから俺にこのお守りを渡したの」
「……多分」
「多分って……」
「正直、あの時は解らなかった。どうして磨緒くんにこのお守りを渡したのかは……あの時はまだ私には解っていなかった。でも私は貴方にこのお守りの片方を託した。多分、本能的に……そして私は音大に受かって上京した……」
それからしばらくの間、瞳は口を閉ざした。
目の前で燃え上がる炎を見つめながら……
触れ合っていた二つの肩の隙間から暖炉の炎の光が透け抜けるようにスッと瞳の体が俺から離れた時、一言瞳は俺の名を呼んだ……磨緒……と。
彼女の目からは涙がこぼれていた。涙は頬を伝わり、ぽたりぽたりと落ちていった。
小さな涙の粒は次第に流れるように頬を伝い落ちて行く。それをひしひしと感じながら、俺も暖炉の燃え上がる炎を見つめていた。
そして……
「……………お、音大にいた時、付き合っていた人がいたの……」
可素朴い声で、薪が燃え盛る音にかき消されるような声で……震えながら瞳は言った。
「音大のピアノの専属講師で、私はその人からピアノを教わっていた。初めは物凄く辛かった……弾けると思っていたピアノが全然弾けなくて、でもその人から教わる度に私はのめり込んで行ってしまった。ピアノに、そして……その人に……」
「その人には、奥さんも、そして可愛い娘さんもいた。でも私は……いいえ、私たちは周りの言う事なんかまるで耳に入らなかった」
俺は一瞬ドキッとした……あの事だ。こぶしに力が入る。次第にそのこぶしに汗が滲む。瞳は泣きじゃくり、涙は衣服を濡らし必死に込みあげる嗚咽を押し殺そうとしていた。
そんな瞳を力強く俺は抱いた。その震える躰(からだ)が俺に伝わる、瞳の辛さが、苦しさが、一緒に伝わる。
「もういい……瞳が悲しかった事も、瞳が辛かった事も……そしてどんな気持ちでその人と別れた事も、俺……………解っているから、全部解るから……もう、いい。俺は今の瞳が好きなんだ。過去なんてもうどうでもいい、そんな過去なんか切り捨てちゃえばいい」
そんな過去なんか……切り捨てろ。
だから、これからは俺だけを………
俺だけを
「………愛してる」
ゆっくりと涙でいっぱいになった顔を上げ、真っ赤になった瞳で俺を見つめ
「うん」と答え
「磨緒」……
すべての力が、全ての想いを込めて俺の躰が瞳に包み込まれ、お互いの唇が自然と吸い込まれるように重なり合う。それは求めたものでもなく、求められたものでもなかった。二人の何かがその時一つになったような。そうあの刺繍のように重なり合って、お互いに二つが一つになった感覚だった。
ようやく俺と瞳は、心の奥底に眠っていた想いを探し当てた気がした。今までわざと眠らせたままでいた想いを……
お守りが結んだ二人の縁(えにし)、そう一瞬感じた。
だが、本当の意味で二人の「縁」はまだ結ばれた訳ではない。そう、この後に待つ二つの人生にどんな事が待ち受けているかなんて、その時の俺らには想像すら出来なかった。
時に、運命は野ばらのようにとげとげしく絡み合い、そしてお互いを激しく傷つけあう事を………俺らはまだ知らない。
さっきまで赤々と燃え盛る暖炉の炎は何時しかその明るさを失っていった。
「なぁ瞳、この方向だと大曲に行くと思うんだけど」
瞳の運転するあの可愛らしい軽自動車は近くの駅を迂回していた。昨日の夜瞳が帰り際に
「ねぇ磨緒くん、明日私磨緒くんにどうしても見せたいものがあるの。早く出ることになるけど……」
まだ目が赤い、そして少し思いつめた様子が何となくいつもの瞳とは違う様に感じる。
「見せたいもの?何」
「んー、それは今は言えない。でも、さっき私磨緒くんに話した事後悔はしていない。それに私……私という人間をちゃんと知ってもらいたかった。ちゃんと磨緒くんを見れるように……」
「瞳……」
その時の言葉が何となく今でも耳に残っている。
一月の終わりになるこの日はこの時期にしてはとても天気が良かった。麻美ねぇは後ろの席で気持ちよさそうに寝ていた。
「まったくよく寝るよなぁ」ふと後ろをみながら言うと
「熟睡している訳じゃないわよ」と目をぱちりと開けた。
「麻美さん後ろ狭くてごめんね」瞳が運転しながら申し訳なさそうに言った。
「そんな事ないわよ。私これで見意外とコンパクトに出来るんだから、誰かさんみたいにがたいだけデカい訳じゃないしね」
「それって俺の事?」「他に誰がいるって言うのよ」
そんな俺らの会話を聞きながら瞳はクスッとしながら鼻歌交じりに車を走らせた。今日は道路の雪はもうすでに解けてアスファルトがところどころ乾き始めていた。
「でもいいなぁ瞳さん自分の車持っていて、私も欲しいなぁ」
麻美ねぇは羨ましそうに言う。
「んーでもね、ここだとどうしても車ないと何にもできない所だから、必需品かなぁ」
「そうだよな、東京だと電車やバスなんかで移動できるからな」
「瞳、この車東京に行ったらどうすんの?」
「ああ、それねぇ。ちょうどお母さんの車もうじき車検なの、だからそっち放してこの車に乗るんだって」
「そうか……」
ふと、瞳が東京に来るのは解っているけど、なんとなくまた会えなくなるようなそんな気持ちが俺の中をよぎった。そんな事はない、俺には……俺らはあのお守りで結ばれているのだから、そんな悲観的な考えを俺は打ち返した。
瞳が車を止めた場所、そこは何処をどう見ても……その、何というか、誰が見ても結婚式場と一目でわかる所だった。
……ま、まさか俺に見せたいものって……
そ、そのぉ……瞳の、ウエディング姿、なんちゃって。そうなれば、当然俺はモーニング?
そして二人は讃美歌の流れる協会で……
「えへへへ……」
「ちょっと磨緒、何一人でにやけながらよだれ流してんのよ。気持ち悪い。瞳さんもう中に入っちゃったわよ」
まったくという具合に麻美ねぇは後ろから俺の頭を叩いた。
「どうせ、ろくでもない事想像してたんでしょ。あんたの事だから」
フンとしながら麻美ねぇは俺を置いてすたすたと中に入って行った。「まったくよう相変わらずいてーなぁ。麻美ねぇのげんこ」
後から俺も中に入るとちょうど瞳の所に黒のスーツを着こなした男性が親しげに瞳に話しかけていた。
スッとした背筋に切りっとした顔つき、がっちりとした体はその高い背丈と合わさり、どこから見てもカッコよさがにじみ出てくるような青年。
そんな男と本当に親しげに話をしている瞳の表情も、俺が見慣れている瞳とは違っていた。
少し……面白くない。
俺はそんな二人の間を裂くかのように少し大きな声で
「瞳」と叫んだ。
その声に反応するかのように二人は俺の方を見る。
「磨緒くん、如何したのいきなり大きな声で……」
少し驚いた感じで瞳が言う
「おや、その足のギブスはまさにスキーでこけて折ったと言わんばかりの位置だなぁ」
そいつは少しにやけながら話しかけて来た。
「この子かい、瞳の従弟って言うのは」
瞳は小さく頷く
「そっかぁ俺、山下昭人(やましたあきと)よろしく」
スッと手を差したが「それじゃ握手出来ねぇな」と笑いながら差し出した手を戻して
「ようこそ、本日は当館にお越しいただき誠にありがとうございます。改めまして、わたくしフロアマネージャの山下と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
まさしく営業用の挨拶だった
俺には目の前にいるそいつの様に立派な挨拶なんか出来る訳がない。だからぼっそりと言ってやった。
「藤崎磨緒です……」と
一瞬「藤崎」と訊いてそいつは不思議そうにしていたが「なるほど……そういうことか」と瞳を見ながらつぶやく様に言った。
「ごめんね、無理頼んじゃって」
「いや、今はシーズンオフだしご覧の通りホールはガラ空きさ、だから遠慮することはないよ、ちゃんと支配人にも許可は取ってあるからな」
何食わぬ顔で言い切りホールの大きな扉を開いた。壁全面が窓ガラスで覆われ外の庭園が眺められる明るく開放感のあるホール。そこに置かれる一台のグランドピアノ。そのピアノは素人の俺が一目見ただけでも、学校なんかにある様なピアノよりも数段ランクが上である事が解るくらい立派なものだった。
ましてピアノなんかそうそう気軽における物でもない、だから瞳はあえてこのピアノがあるここに来たんだ。
そうそれは、俺に瞳が奏でるピアノを聴かせるため。
最高の環境で、きちんと調律されたピアノで奏でる為だった。
瞳はゆっくりとピアノに向った
「昭人ありがとう。全部セッティングしてくれていたのね」彼を見つめながら言った。
「まぁな、あの頃はよくやらされたからな……それに久しぶりに、いや独身最後にお前のピアノ聞きたかったし」
「え、独身最後って……」
ちょっと照れ臭そうに昭人は
「ああ、俺今年の夏に結婚するんだ……」
昭人はそれ以上は言わなかった。そして私もそれ以上は訊かなかった。お互い高校の時にけじめをつけたのだから……
今私の前にいる昭人はあの頃の昭人とは違う。そして私もあの高校時代からすれば変わった……いいえ、お互い大人になったのかもしれない。彼に連絡をする前かなり迷ったのは確かだった。高校の時付き合っていた元彼氏、もしかしたら相手にもしてくれない……でも彼は昭人はちゃんと私に向き合ってくれた。連絡してくれた事を本当に喜んでくれた。あの頃と同じあの声で……
懐かしむ様に
私が今どうしてここに来たのか、それは磨緒くんに私のピアノを聴かせるため。そして、今までの私と別れるため。私は大学時代に出会った彼とのあの恋いを、どこかでまだ引きずっていた。心だけじゃなくこの躰(からだ)に刻み込まれたもの。例え心の中からそれが消えても躰はどこかで覚えている。例え、体の感覚からそれが消えたとしても、心の片隅のどこかに潜(ひそ)ませているんだと思う。多分私は彼の事は生涯失う事は無いだろう。何故なら、私にとって一番大切な想いに気付かせてくれたのは、あの辛い恋があったから。あの恋がなかったら私は未だに自分を偽っていたかもしれないから……
全てを偽るのではなく、全てを切り捨てるのではなく。私は全てを受け入れなければ、これから前には進めない。だから今の私とは別れを告げようと思った。弱い私と別れようと……
『フレデリック・フランソワ・ショパン 夜想曲 第2番 変ホ長調』
彼、敦が私の為だけに奏でてくれたこの楽曲が存在する限り、私は今までの私の全てを受け入れる強さを持たないといけないから……