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屋上の自殺少女

この小説は思いつきのまま記載したものです。

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◆◆屋上の自殺少女

 

空にめがけて私はとんだ。あの青い空をめがけて。
足をそろえ手を十字に伸ばし、風を切った。
17歳の夏。
この世界と別れを告げたかったから。

 

上を見よう。絶対に落ちることなんか考えないことにしよう。
空にだけ、舞い上がることだけを信じて。
夢はあった、今でもその夢は持ち続けている。
でも……現実は違う。
その現実を受け入れることを私は拒んだ。
拒むことで私は生きている証しを得ていたのかもしれない。

本当の私を知る人は誰もいない。
両親だって本当の私の事はわかってはいなかった。
でも、それでいいと思った。
それでいい……
誰も私の本当の想いを知ってもらおうとしていないから。
それでいい。
だから残すことは何もない。

ただ空に向かいたかっただけ。
雲一つないあの空に。

人生は長くても短くても
それはその人が生きてきた思いの重さからすればどうでもいいこと。
私はこの17年間、一生懸命生きてきたと思う。
だからもういいのだ。

空に飛ぶことはたぶんできないだろう。
一歩踏み出せば、私の体は……落ちる。
空なんかには絶対に行かない。そんなのわかっている。
耳に風がうごめく音がする。
ごぉおっと。
その音しかも何も聞こえない。
何も聞きたくない。
聞くことで私の脳裏にはその後の姿が映し出さられるから

分かっている。
落ちることは私は死ぬこと。
ぐちゃぐちゃになって血だらけになって、真っ赤な液体があたりに流れ出す光景。
だんだんと体が軽く感じる。
踏み出さなくても私は宙に舞いそうだ。
金網をつかむ手の力が次第に薄れていく。
風が私を押し出す。
5階建てのビルの屋上。
人の声がする。声が聞こえてくるような気がする。
そう誰もいないはずなのに、人は集まり私を見つめる。
なんだろう街の中の雑踏の様にその声が聞こえる。
何となくその音が心地よくなってくる。
「ほら、飛べよ」
「いけよ」
「ああ、だめだなぁ」
血だらけ、後処理大変そうだ。
そんなこと私には関係ない。だってもう死んでいるんだもん。
死んだら私はどこに行くんだろう。
ほんとうに人には魂っていうものがあるんだろうか。
あるんだったらすでに私の魂はもうはるか別な世界に行ってしまっているはず。
片手が金網から外れる。
スーと全身から力が抜けていく感覚。
もう少しだ。
もう少しで風に乗れそうだ。風に乗って空を舞う。
何も考えることはない。
そう考えるから何もできないのだ。

その時見たあの空の色は……もすごく青かった。