Ⅱ想いと現実と
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◆◆◆ Ⅱ想いと現実と
真っ暗だと思っていたペンションには明かりが灯されている。叔父さんが帰っていた。いつもとは違う重く感じるドアを開け「ただいま」と何もなかったかのように、出来るだけ普通の声で言った。でもその姿を見れば何かあったことは一目瞭然、叔父さんたちは驚いて
「磨緒、どうしたんだその体」
無理もないだろうと思う。
なにせ叔父さんがここを出る時は片足にギブスだけの俺だったのだから。そして今は、左腕を吊るし片方の頬には大判の絆創膏が貼られている。その俺の後ろには、黙って俯(うつむ)いている瞳がいた。
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